結論から申し上げますと、薄毛の原因や症状によって行くべき「科」は明確に異なります。
もしあなたが「円形脱毛症」や「頭皮の赤み・フケ」に悩んでいるなら、迷わず「皮膚科」を受診してください。
しかし、もしあなたが「生え際が後退してきた」「頭頂部が薄くなってきた」といった、いわゆる男性型脱毛症(AGA)や女性のびまん性脱毛症(FAGA)に悩んでいるのであれば、正解は「AGA・薄毛専門クリニック」です。
間違った科を受診してしまうと、あなたの薄毛のタイプに合わない治療を受けることになり、効果を実感できないまま時間とお金だけを浪費してしまうリスクがあります。
これは、私自身が20代で薄毛に悩み、最初に近所の皮膚科に行って失敗し、遠回りをしてしまった苦い経験からも断言できます。
- 【10秒で判定】あなたの症状・性別で選ぶべき「受診科」診断チャート
- 皮膚科と専門クリニックの「治療内容・費用・検査」の決定的な違い
- 20代で発症し治療中の私が教える、恥ずかしくない病院の選び方とオンライン診療のリアル
読み終える頃には、「自分はどこに行けばいいのか」という迷いが完全に消え、最短ルートで薄毛の悩みを解決するための第一歩を踏み出せるようになっているはずです。
【10秒診断】薄毛の症状・目的別!あなたが受診すべき「何科」の正解ルート
「薄毛だから病院に行こう」と思い立っても、内科なのか皮膚科なのか、それとも専門のクリニックなのか、判断に迷うことはありませんか?
実は、薄毛の「原因」によって受診すべき科は明確に分かれています。
ここを間違えると、「皮膚科に行ったけれど、簡単な塗り薬をもらっただけで終わってしまった」「専門クリニックに行ったけれど、実は円形脱毛症で皮膚科を紹介された」といった二度手間が発生してしまいます。
まずは、以下のフローチャートを使って、あなたの症状に合った受診先を確認しましょう。
▼受診科振り分けフローチャート
| 質問ステップ | 選択肢A | 選択肢B |
|---|---|---|
| Q1. 抜け毛のパターンは? | 部分的にゴソッと抜けた (円形など) | 生え際や頭頂部が徐々に薄くなった |
| Q2. 頭皮の状態は? | フケ、赤み、かゆみが強い | 特に異常はない(薄いだけ) |
| Q3. 性別と体調は? | 女性で産後・更年期の不調がある | 男性、または健康な女性 |
| 判定結果 | 皮膚科 | 専門クリニック (または婦人科) |
このチャートに基づき、それぞれの科がなぜ適しているのか、どのような治療が行われるのかを詳しく解説していきます。
【皮膚科】円形脱毛症・脂漏性皮膚炎・頭皮湿疹の方
もしあなたの症状が、ある日突然、10円玉くらいの大きさで髪が抜け落ちてしまった(円形脱毛症)、あるいは頭皮が赤くただれてフケが止まらない(脂漏性皮膚炎など)という場合、行くべきは「一般の皮膚科」です。
なぜなら、これらは医学的に「疾患(病気)」として扱われるため、健康保険が適用される治療が可能だからです。
円形脱毛症は、自己免疫疾患の一種と考えられており、ストレスやアレルギーなどが引き金となって起こることがあります。
この場合、皮膚科ではステロイドの外用薬や内服薬、あるいは冷却療法などの治療が行われます。
また、脂漏性皮膚炎はカビ(真菌)の一種が原因であることが多く、抗真菌薬のローションなどが処方されます。
これらの治療は、街の皮膚科クリニックや総合病院の皮膚科で標準的に行われています。
「病気を治す」ことが目的なので、美容目的の治療とは異なり、3割負担で安価に受診できるのが最大のメリットです。
私自身も過去に、夏場に頭皮が痒くてたまらなくなり、フケが増えた時期がありました。
その時は近所の皮膚科を受診し、顕微鏡検査で菌の状態を確認してもらい、炎症止めのローションをもらって数日で治まりました。
このように、「頭皮のトラブル」や「急激な部分的脱毛」に関しては、皮膚科が最強の相談相手となります。
【専門クリニック】生え際・頭頂部が薄い・全体的にボリューム減の方(AGA/FAGA)
一方で、もしあなたが「数年かけて徐々に生え際が後退してきた」「頭のてっぺんの地肌が透けて見えるようになった」「髪全体が細く弱々しくなってきた」と感じているなら、受診すべきは「AGA・薄毛専門クリニック」です。
これは、男性であれば「男性型脱毛症(AGA)」、女性であれば「女性型脱毛症(FAGA)」である可能性が非常に高いからです。
これらは、遺伝やホルモンバランスの影響でヘアサイクル(髪が生え変わる周期)が乱れることで起こる症状です。
重要なのは、AGAやFAGAは、厚生労働省が定める保険診療の対象外(自由診療)であるという点です。
つまり、「病気」ではなく「美容・容姿の悩み」や「体質」に近いものとして扱われるため、健康保険が使えません。
一般の皮膚科でも、AGA治療薬(プロペシアなど)を置いているところはありますが、あくまで「ついで」の対応であることが多く、詳しい検査や発毛を促進する積極的な治療は行われないことがほとんどです。
専門クリニックであれば、マイクロスコープによる毛穴の診断、血液検査によるホルモン値の測定、遺伝子検査による将来のリスク予測などを行い、あなたに最適な薬の組み合わせを提案してくれます。
私も23歳で生え際の後退に気づいたとき、最初は「皮膚科に行けばなんとかなる」と思っていました。
しかし、皮膚科ではAGAの詳しい診断ができず、結局専門クリニックに行って初めて自分の進行度合いや適切な治療法を知ることができました。
「本気で髪を生やしたい」「進行を食い止めたい」と願うなら、餅は餅屋、薄毛は専門クリニックを選ぶのが正解です。
【婦人科・心療内科】産後・更年期・抜毛症の方
女性の場合、ライフステージによって薄毛の原因が異なります。
もしあなたが産後で、急激な抜け毛に悩んでいる場合は、ホルモンバランスの急激な変化が原因である「分娩後脱毛症」の可能性が高いです。
また、更年期に入り、ホットフラッシュやイライラなどの症状と共に薄毛が気になる場合も、女性ホルモンの減少が関係しています。
これらの場合、まずは「婦人科」を受診し、ホルモンバランスの状態をチェックしてもらうことをお勧めします。
婦人科系の疾患が隠れていないかを確認し、漢方薬やホルモン補充療法などで体調を整えることで、結果的に抜け毛が改善することがあるからです。
もちろん、体調に問題がなく薄毛だけが気になる場合は、女性専門の薄毛治療クリニックを受診するのも良い選択です。
そして、もう一つ特殊なケースとして、「無意識のうちに自分で髪を抜いてしまう」という抜毛症(トリコチロマニア)があります。
これはストレスや不安などの心理的な要因が大きく関わっているため、皮膚科や薄毛専門クリニックではなく、「心療内科」や「精神科」への相談が必要です。
心のケアを行うことで、抜毛行動そのものを改善していくアプローチが求められます。
このように、一言で「薄毛」と言っても、その背後にある原因は様々です。
ご自身の状況に合わせて、まずは「どの扉を叩くか」を間違えないようにしてください。
「とりあえず皮膚科」は損をする?一般皮膚科とAGA専門クリニックの3つの決定的違い
「専門クリニックが良いのはわかったけれど、やっぱり最初は敷居が低い皮膚科に行きたい」
そう思う気持ち、痛いほどよく分かります。
専門クリニックは「薄毛の人しかいない場所」というイメージがあり、入るのに勇気がいりますし、自由診療だから高額な請求をされないか不安ですよね。
しかし、AGA(進行性の薄毛)の治療において、「とりあえず皮膚科」を選択することが、結果的に「現状維持すらできずに進行を許してしまう」あるいは「詳細な検査なしに薬を飲み続けて不安になる」というリスクにつながる可能性があることを知っておいてください。
ここでは、一般皮膚科と専門クリニックの決定的な3つの違いを、私の実体験も交えて深掘りします。
▼皮膚科 vs 専門クリニック 比較表
| 項目 | 一般的な皮膚科 | AGA・薄毛専門クリニック |
|---|---|---|
| 治療の目的 | 現状維持 (進行遅延) | 発毛・改善 (見た目の変化) |
| 主な治療薬 | フィナステリド等の内服のみ | 内服+外用(ミノキシジル)+注入治療など |
| 検査内容 | 問診・視診のみが多い | マイクロスコープ、血液検査、遺伝子検査 |
| 医師の専門性 | 皮膚疾患全般のプロ | 薄毛治療・発毛のプロ |
| プライバシー | 待合室は他の患者と一緒 | 個室対応・完全予約制が多い |
| 費用 | 薬代のみ (診察料は別途) | パッケージ料金 (診察料無料の場合も) |
違い1:治療目的(現状維持 vs 発毛促進)
最大の違いは、治療の「ゴール設定」です。
一般の皮膚科で処方されるAGA治療薬は、主に「フィナステリド(プロペシア)」や「デュタステリド(ザガーロ)」といった「守りの薬」です。
これらは、薄毛の原因となる悪玉ホルモンの生成を抑え、抜け毛を防ぐ効果はありますが、「新しく髪を太く長く生やす」という効果は限定的です。
つまり、皮膚科での治療は「今の状態をキープする」「これ以上ハゲないようにする」ことが主目的となります。
一方で、専門クリニックでは、この「守りの薬」に加えて、「ミノキシジル」という「攻めの薬(発毛剤)」を積極的に使用します。
ミノキシジルは、頭皮の血流を改善し、毛根に直接栄養を送り込むことで発毛を促す成分です。
さらに、頭皮に直接成長因子を注入する「メソセラピー」などのオプション治療も用意されています。
「薄くなった部分をフサフサに戻したい」「見た目を劇的に変えたい」と願うのであれば、守りの薬だけでは不十分であり、攻めの治療ができる専門クリニック一択となります。
日本皮膚科学会のガイドラインでも、ミノキシジルの外用は推奨度A(強く勧める)とされていますが、一般皮膚科で高濃度のミノキシジル外用薬まで処方してくれるところは稀です。
違い2:検査精度(目視のみ vs マイクロスコープ・血液・遺伝子検査)
私が初めて皮膚科で「薄毛が気になるんです」と相談した時のことを今でも鮮明に覚えています。
先生は私の頭をパッと数秒見て、「ああ、少しキテるかもね。薬出しておきますか?」と言いました。
「えっ、それだけ?」と思いました。
私の毛根がどうなっているのか、頭皮の状態はどうなのか、本当にAGAなのか、詳しい説明は一切ありませんでした。
血液検査もなかったので、薬を飲んで肝臓に負担がかかっていないかどうかもチェックされませんでした。
これが一般皮膚科のリアルな対応であることが多いです(もちろん、熱心な先生もいらっしゃいますが、皮膚科医にとって薄毛は数ある疾患の一つに過ぎません)。
一方、専門クリニックでは、初診時にマイクロスコープを使って頭皮を拡大し、モニターで見せてくれます。
「ここを見てください。一つの毛穴から本来は2〜3本生えているべき髪が、1本しか生えていませんね。しかも細くなっています。」
このように視覚的に説明されると、自分の現状が客観的に理解でき、治療への納得感が段違いです。
また、専門クリニックでは定期的な血液検査が必須となっていることが多く、薬による副作用が出ていないかを数値で管理してくれます。
さらに、遺伝子検査を行えば、「自分はAGAになりやすい体質か」「フィナステリドが効きやすい体質か」といったリスク判定まで可能です。
自分の体を守りながら、納得して治療を続けるためには、この「検査の精度」が非常に重要だと私は痛感しました。
違い3:通いやすさとプライバシー配慮
「皮膚科の方が近所にあって通いやすい」というのは事実ですが、そこには「プライバシー」の問題がつきまといます。
皮膚科の待合室には、近所の奥様や、学校帰りの子供たちもたくさんいます。
そんな中で受付で「AGAの相談で…」と言うのは、私のような自意識過剰な人間にとっては拷問に近いものでした。
名前を呼ばれて診察室に入るときも、「あの人、若ハゲの相談かな」と思われているような気がして、終始肩身の狭い思いをしました。
一方、多くの専門クリニックは、雑居ビルの上階など目立たない場所にあり、完全予約制・個室対応が基本です。
他の患者さんと顔を合わせないように動線を工夫しているクリニックも多く、スタッフの方々も薄毛の悩みに慣れているため、非常に配慮が行き届いています。
「恥ずかしさ」というハードルを下げるための工夫に関しては、専門クリニックに一日の長があります。
ただし、専門クリニックは主要駅の周辺に集中していることが多く、地方在住の方には通いにくいというデメリットもあります。
(これについては、後述する「オンライン診療」という解決策があります。)
まとめると、「とりあえず現状維持でいい、近所で済ませたい、詳細な検査は不要」なら皮膚科。
「本気で生やしたい、自分の状態を詳しく知りたい、プライバシーを守りたい」なら専門クリニック。
あなたの「本気度」に合わせて選ぶことが大切です。
【女性の薄毛】は何科?男性とは違う「FAGA」と「婦人科疾患」の見極め方
ここまで主に男性のAGAを念頭に解説してきましたが、女性の薄毛(FAGA・FPHL)はさらに繊細な判断が必要です。
「女性も専門クリニックに行くべき?」という質問に対しては、「YES」ですが、「男性と同じクリニックに行くのはちょっと待って」とお伝えしたいです。
女性の薄毛治療において知っておくべき決定的な違いと、病院選びのポイントを解説します。
女性が「一般の皮膚科」を受診する際の注意点
まず、女性が一般の皮膚科で薄毛相談をする場合、一つ大きな落とし穴があります。
それは、「多くの皮膚科医はAGA(男性)の治療には慣れているが、FAGA(女性)の治療オプションをあまり持っていない」という点です。
もっと深刻なのは、男性用のAGA治療薬である「フィナステリド」や「デュタステリド」は、女性には絶対に処方してはいけない(禁忌)ということです。
日本皮膚科学会のガイドラインでも、これらの薬は女性に対して「推奨度D(行うべきではない)」と明記されています。
特に妊娠中の女性が服用すると、胎児の生殖器の発達に悪影響を及ぼす危険性があるからです。
もちろん医師であればこの事実は知っていますが、一般の皮膚科では「女性用の安全な内服薬(パントガールなど)」や「女性用のミノキシジル外用薬」を常備していないことが多いのです。
その結果、「加齢ですね」「ストレスでしょう」と言われて、ビタミン剤や気休めのローションを出されて終わってしまう、というケースが後を絶ちません。
「女性専門外来(クリニック)」を選ぶメリット
そこで女性にお勧めしたいのが、「女性専門の薄毛治療クリニック」、あるいは大手クリニックの中にある「女性専用外来(レディース院)」です。
ここでは、男性の目を気にする必要がありません。
待合室も女性のみ、医師やスタッフも女性中心というクリニックも多く存在します。
治療内容も、女性の体に合わせたメニューが豊富です。
例えば、以下のような治療が受けられます。
- パントガール: 女性の薄毛改善に特化したサプリメント的な内服薬。
- 女性用ミノキシジル: 濃度を調整した外用薬や内服薬。
- メソセラピー: 成長因子を頭皮に注入し、髪のハリ・コシを取り戻す。
女性の薄毛は、全体的にボリュームが減る「びまん性脱毛症」が多く、男性のようにツルツルになることは稀です。
だからこそ、適切な栄養補給と頭皮ケアを行えば、改善する可能性は十分にあります。
婦人科を受診すべきケースとは?
ただし、専門クリニックに行く前に、一度立ち止まって考えてほしいことがあります。
それは、「薄毛以外の体調不良はないか?」という点です。
- 生理不順が続いている
- 急に体重が増減した
- 疲れやすく、寒がりになった(甲状腺機能低下症の疑い)
- 更年期障害のようなほてりやイライラがある
もしこれらの症状がある場合は、薄毛はあくまで「身体のSOS」の一つに過ぎない可能性があります。
その場合は、まず「婦人科」や「内科」を受診し、血液検査でホルモンバランスや甲状腺機能をチェックしてもらうことを優先してください。
根本的な原因である病気やホルモン異常を治療すれば、薄毛も自然と治ることがあるからです。
女性の体はデリケートです。「ただの薄毛」と決めつけず、全身の健康状態と照らし合わせて受診先を選んでください。
失敗しない「薄毛治療病院」の選び方5選!ボッタクリを回避する自衛策
「よし、専門クリニックに行こう」と決めたとしても、ネットで検索すると無数のクリニックが出てきて途方に暮れると思います。
中には、不安につけ込んで高額な契約を迫るような、悪質なクリニックが存在するのも残念ながら事実です。
私が実際に治療を続けている経験と、徹底的なリサーチから導き出した「失敗しない病院選びの5つの基準」を伝授します。
これを知っているだけで、ボッタクリ被害に遭う確率はグンと下がります。
公式サイトに「医師の実績」と「ガイドライン準拠」があるか
まず、クリニックの公式サイトをチェックしてください。
トップページに「〇〇円で生える!」「絶対治る!」といった派手な広告文句ばかりが並んでいて、医師の顔写真やプロフィール、経歴が見当たらないクリニックは避けた方が無難です。
信頼できるクリニックは、院長や所属医師がどのような経歴(皮膚科専門医なのか、形成外科医なのか、学会に所属しているか)を持っているかを明示しています。
また、「日本皮膚科学会のガイドライン」について言及しているかどうかも重要なチェックポイントです。
科学的根拠(エビデンス)に基づいた治療を行っているクリニックは、ガイドラインを尊重し、医学的に認められた薬を主体に治療を提案します。
逆に、得体の知れない「当院オリジナルの秘薬」や「波動療法」のような、エビデンス不明の治療ばかりを推してくる場合は要注意です。
「無料カウンセリング」で強引な勧誘がないか
多くの専門クリニックでは、初回のカウンセリングを無料で行っています。
これは利用すべきですが、ここでの対応がクリニックの質を見極める最大のチャンスです。
「今日契約すれば〇〇%オフです!」「今すぐ治療しないと手遅れになりますよ!」
このように、不安を煽って即日契約を迫ってくるクリニックは、私の経験上、絶対にNGです。
良心的なクリニックは、「一度持ち帰って検討します」と言っても、嫌な顔一つせず、「ゆっくり考えてくださいね」と送り出してくれます。
私が現在通っているクリニックも、初回の説明の際、「まずは薬だけで様子を見ましょう。高額な注入治療は、必要だと感じてからで大丈夫ですよ」と、むしろ安いプランを提案してくれました。
この「患者の財布とペースを尊重してくれる姿勢」こそが、信頼の証です。
料金体系は明朗か(追加費用の有無)
「月額3,000円〜」という広告を見て行ったのに、見積もりを出されたら「月額3万円」になっていた、という話はよくあります。
これは、最安値のプランが「現状維持の薬1種類のみ」の価格で、実際に発毛を目指すプランには、高額なサプリメントやシャンプー、注入治療がセットされているからです。
契約書にサインする前に、以下の点を必ず確認してください。
- 薬代以外にかかる費用はあるか?(診察料、血液検査代、システム利用料など)
- オプション治療(メソセラピーなど)は必須か?(断れる雰囲気か?)
- 解約時の返金規定はどうなっているか?(長期コース契約の場合)
料金表が複雑で理解できない、あるいは合計金額をあいまいに説明するクリニックは避けましょう。
通い続けられる立地か、オンライン対応か
薄毛治療は、虫歯治療のように「数回通って終わり」ではありません。
効果が出るまでに最低でも半年、維持するためには数年〜数十年と付き合っていく必要があります。
どんなに名医がいるクリニックでも、片道2時間かかるところに毎月通うのは、現実的ではありません。
半年後、雨の日や仕事が忙しい日に「今日は行くのが面倒だな…」と思った瞬間、治療はドロップアウトしてしまいます。
「自宅や職場から無理なく通える範囲にあるか」、あるいは後述する「オンライン診療に対応しているか」は、治療の継続率を左右する極めて重要な要素です。
私の場合は、この「通い続ける自信」がどうしても持てなかったため、最終的にオンライン診療を選びました。
定期的な経過観察があるか
薬を渡して「はい、終わり」ではなく、定期的に経過を見てくれるかどうかも大切です。
半年に一度は写真を撮って比較してくれる、血液検査で副作用のチェックをしてくれるなど、「伴走」してくれるクリニックを選びましょう。
自分の髪が増えているのか変わっていないのか、自分では毎日見ているので意外と気づかないものです。
客観的なデータで効果を示してくれるクリニックなら、モチベーションを維持して治療を続けられます。
【実体験】「病院に行くのが恥ずかしい」人へ。オンライン診療という選択肢
ここまで読んで、「頭では分かったけど、やっぱりどうしても病院に行くのが恥ずかしい…」と思っている方。
その気持ち、本当によく分かります。
私も20代で薄毛に悩み始めた頃、皮膚科の受付で保険証を出す手が震えたり、待合室で知り合いに会わないかキョロキョロしたりした経験があります。
「若いくせにハゲを気にしてる」と思われるのが、死ぬほど怖かったのです。
そんな私が最終的にたどり着き、現在も続けているのが「オンライン診療」です。
これは、スマホのビデオ通話を使って医師の診察を受け、薬を自宅まで郵送してもらうサービスです。
実際に利用して感じた、リアルなメリットとデメリットをお伝えします。
誰にも会わずに診察〜処方まで完結する仕組み
オンライン診療の最大のメリットは、「誰にも会わなくていい」という点につきます。
予約した時間にスマホのアプリやWebサイトを開くだけ。
画面越しに医師と数分〜十数分話をして、問診を受けます。
カメラで頭皮の状態を見せることもありますが、対面ほどの恥ずかしさはありません。
そして、診察が終われば決済もオンラインで完了し、数日後には薬がポストに届きます。
「病院に行く準備をして、電車に乗って、待合室で待って、診察を受けて、薬局で薬をもらって…」という、あの煩わしいプロセスと心理的ストレスが、すべてゼロになります。
この「手軽さ」こそが、私が治療を続けられている最大の理由です。
実際の配送パッケージはこんな感じ(家族バレ対策)
オンライン診療を利用する際、もう一つ心配だったのが「家族や同居人にバレないか」ということでした。
自宅に「〇〇AGAクリニック」なんて書かれた段ボールが届いたら、言い逃れできません。
しかし、その点も多くのクリニックは徹底しています。
実際に私の元に届く荷物は、送り主の名前が「個人名(医師の名前など)」や「配送センター」になっており、品名も「PCパーツ」「雑貨」「サプリメント」など、中身が分からないように記載されています。
パッケージもシンプルな無地の段ボールや封筒なので、外見からは絶対に育毛剤だとは分かりません。
この配慮のおかげで、私は家族に怪しまれることなく、こっそりと治療を続けることができています。
オンライン診療のデメリットと向かない人
もちろん、オンライン診療も万能ではありません。
最大のデメリットは、「詳細な触診やマイクロスコープ検査ができない」ことです。
画面越しでは、頭皮の細かな炎症や、毛穴の詰まり具合までは分かりません。
そのため、円形脱毛症のような「詳細な視診が必要な疾患」の可能性がある場合は、オンラインでは正確な診断が難しく、「一度皮膚科に行ってください」と言われることもあります。
また、血液検査については、直近の健康診断の結果を提出するか、自己採血キット(指先から血を採って郵送するもの)を利用する必要があります。
ですので、「まずは一度、対面でしっかりとマイクロスコープで診てもらいたい」という方は、初回だけ対面のクリニックに行き、2回目以降をオンラインに切り替えるという方法がお勧めです。
「とにかく早く薬が欲しい」「原因はある程度予想がついている(AGAなど)」という方にとっては、オンライン診療は最強のツールになります。
薄毛の受診に関するよくある質問 (FAQ)
最後に、薄毛で病院に行く際によくある疑問について、Q&A形式でまとめました。
これらを知っておくだけで、初診時の不安がかなり解消されるはずです。
健康診断の血液検査結果は必要ですか?
はい、持参することを強くお勧めします。
AGA治療薬(特にフィナステリドやミノキシジル)は、肝臓で代謝されるため、肝機能に異常がないかを確認する必要があります。
多くのクリニックでは、治療開始前に血液検査を行いますが、直近(半年〜1年以内)の健康診断の結果があれば、その検査を省略できる(=検査費用が浮く)場合があります。
手元にある方は、ぜひスマホで写真を撮っておくか、原本を持っていきましょう。
未成年(高校生・大学生)でも受診できますか?
受診は可能ですが、治療薬には制限があります。
代表的なAGA治療薬であるフィナステリドやデュタステリドは、安全性が確立されていないため、20歳未満への処方は原則として行われません(未成年の服用は安全性および有効性が確立されていません)。
未成年の方が薄毛に悩んでいる場合は、まずは一般の皮膚科を受診し、他の病気がないかを確認した上で、アデノシンなどの外用薬や、生活習慣の改善など、年齢に合わせた対策を相談することになります。
未成年でも相談に乗ってくれる専門クリニックはありますが、必ず保護者の同伴または同意書が必要です。
治療をやめたらどうなりますか?
残念ながら、再び薄毛が進行します。
AGAは進行性の症状であり、治療薬はあくまで「進行を食い止め、ヘアサイクルを正常に戻す」ためのものです。
風邪薬のように「治ったら終わり」ではありません。
治療をやめて薬の成分が体から抜けると、再び悪玉ホルモンの影響を受け始め、ヘアサイクルが短くなり、数ヶ月かけて元の薄毛の状態に戻っていきます(リバウンド)。
これを防ぐためには、ある程度髪が生え揃った後も、薬の量を減らしたり種類を変えたりしながら、「維持療法」を続けていく必要があります。
「一生飲み続けなければならないのか」と不安になるかもしれませんが、歯磨きやスキンケアと同じように、「髪を保つための日課」として捉えられるようになれば、それほど負担には感じなくなります。
まとめ:薄毛の悩みは「最初の科選び」で9割決まる
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
薄毛の悩みは深く、デリケートで、誰にも相談できずに一人で抱え込んでしまいがちです。
しかし、現代医学において薄毛は「正しい場所に行き、正しい治療を受ければ改善できる悩み」になっています。
重要なのは、勇気を出して最初の一歩を踏み出すことです。
そしてその一歩は、間違った方向に踏み出してはいけません。
最後に、改めて「あなたが選ぶべき受診科」のチェックリストを置いておきます。
▼受診科選び・最終チェックリスト
| あなたの状況・希望 | おすすめの受診科 |
|---|---|
| □ 円形脱毛症ができた | 皮膚科 |
| □ 頭皮が赤くて痒い、フケがすごい | 皮膚科 |
| □ 10円玉ハゲ以外の薄毛(生え際・頭頂部) | AGA専門クリニック |
| □ 本気で髪を増やしたい・発毛したい | AGA専門クリニック |
| □ 誰にも会わずに薬が欲しい | オンライン診療 (AGA専門) |
| □ 産後・更年期の不調がある女性 | 婦人科 (または女性専門院) |
| □ 自分で髪を抜いてしまう癖がある | 心療内科・精神科 |
「迷ったら、まずは専門クリニックの無料相談を受ける」
これが、私の経験から言える最もリスクが低く、解決に近い選択肢です。
専門クリニックであれば、もしそれがAGAではなく皮膚疾患であれば、「これは皮膚科に行ってください」と正直に教えてくれます(彼らも専門外の治療をしてトラブルになりたくないからです)。
一番もったいないのは、「自分は何科に行けばいいんだろう…」と悩んでいる間に、薄毛が進行してしまうことです。
AGAは進行性です。今日が一番、あなたの髪が元気な日です。
半年後、「あの時動いてよかった」と鏡の前で笑えるように、まずはスマホで近くのクリニックやオンライン診療を検索してみてください。
あなたの悩みが一日も早く解決することを、同じ悩みを持つ仲間として心から応援しています。

